社会と調査
京都通信社の本

社会と調査 第26
企業組織を調査する

表紙
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特集紹介

賃金格差、ワーキングプア、ハラスメント、やりがい搾取、ワーク・ライフ・バランス等々、働き方をめぐる様々な問題が指摘されている。そうした問題を正確に把握し、実効性のある解決方法を明らかにするためには、舞台となっている企業組織がどのような論理で動いているかを踏まえる必要がある。本特集は、その代表的な方法を紹介しながら1)、企業組織の調査法について理解を深めることを目的としている。解題を兼ねた総論として、本稿では企業組織を対象とする調査の特徴を整理することにしたい。

池田心豪「はじめに」から抜粋

目次

巻頭言

集計結果が分かれば良いのか 手集計を手掛かりに考える
海野道郎 東北大学 名誉教授

特集 企業組織を調査する

論文1. 働き方の問い方・とらえ方
——企業組織調査のポイント
池田心豪
論文2. 企業組織の制度と実態
——企業インタビュー調査を中心に
佐藤 厚
論文3. 企業組織の歴史を聞き取る
——オーラルヒストリーで描く職場
山下 充
論文4. 学校研究における組織エスノグラフィーの現在
鈴木雅博
論文5. 企業組織の国際比較における方法
——人事管理・労使関係の事例研究を中心に
佐野嘉秀
論文6. 企業・従業員マッチングデータで何ができるのか
高橋康二

Refereed Paper

オンライン実施は討論型世論調査の代表性を改善するのか?
——浜岡原発再稼働と地元合意をテーマとしたミニパブリクス型熟議実験の結果から
辰巳智行・中澤高師
回答者視点からみた社会調査
——調査の有効性と懸念および協力しやすさに着目して
畑農鋭矢・竹下 諒

Research Report

実家や集落との関わりに対する「他出子」本人の意識
——浜松市天竜区佐久間町の調査から
舩戸修一
実家や集落との関わりに対する「他出子」本人の意識
——浜松市天竜区佐久間町の調査から
小松 洋・阿部晃士・篠木幹子

調査の現場から

NHKの学校・教師を対象とする調査
宇治橋祐之

働く社会調査士

調査データから生活者の事態を理解する
志水裕美
テレビ局と社会調査士
森 雅人

Commentary

質的研究とSCATについて
大谷 尚

Column 調査の達人

岩井弘融
裏社会を開拓した孤高の旅人
田中智仁
W・E・B・デュボイス
辻 正二

Column 世界の調査/日本の調査

The National Survey of Family Growth(NSFG)
家族研究における有用性
石井クンツ昌子
出生動向基本調査
岩澤美帆

Column 社会調査のあれこれ

コロナ禍にあっても揺るがないこと
前田忠彦
リサーチ・ヘリテージとしての森岡清美調査資料群
小林多寿子

私の3冊

混濁の時代に
社会と調査の歴史的名作品によって
松原 望

著者が語る社会調査テキスト

『インタビューの社会学――ライフストーリーの聞き方』
二つのフィールドワークの経験をもとに
桜井 厚

書評

梅崎 修・池田心豪・藤本 真編著
『労働・職場調査ガイドブック—多様な手法で探索する働く人たちの世界』
西村幸満
西岡八郎・江崎雄治・小池司朗・山内昌和編
『地域社会の将来人口—地域人口推計の基礎から応用まで』
原 俊彦
多喜弘文著
『学校教育と不平等の比較社会学』
飯田浩之
安井翔太著,ホクソエム監修
『効果検証入門—正しい比較のための因果推論/計量経済学の基礎』
尾崎幸謙

2020年度 社会調査協会賞 受賞のことば

社会調査協会賞について
石田 浩
優秀研究活動賞
田辺俊介
『社会と調査』賞
作田誠一郎 / 土屋 敦