シリーズ 京の庭の巨匠たち

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重森三玲Ⅱ 自然の石に永遠の生命と美を贈る

シリーズ 京の庭の巨匠たち5
重森三玲Ⅱ 自然の石に永遠の生命と美を贈る

  • 写真・文 重森三明
  • 企画協力 重森三玲庭園美術館
  • 発行 京都通信社
  • 装丁 納富進・秋葉敦子
  • A4変判 120ページ
  • 定価2,381円+税
  • ISBN 978-4-903473-05-5
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「重森三玲庭園美術館が」10月11日の朝日新聞夕刊で紹介されました。
※紙面にて書影が掲載されているのはこちらの本です

庭園は関係性のアートである。

枯山水の庭では、大小さまざまな石が石組を構成し、また、石組どうしが関係しながら調和をみせている。庭の異なる要素は完璧につりあい、石組の強弱や石の大小で整えられた庭の景色には、人と自然の存在が投影され、そこに無限の拡がりを感じる。それは、庭がどこか、宇宙の姿を反映しているからであろう。

私たち人間は、見る対象に感情移入し、自己同一視する生き物である。したがって、石組の一部から庭に見入り、次いで他の石組との関係を追い、最後は庭の全体像たる蓬莱神仙の世界を体感する。これは、映画やドラマで主演者や助演者の行動を追いながら、そこに描かれたストーリーや世界観を楽しむこととさほど変わりない。能の世界でいえば、シテとツレの語りや舞、相関関係から物語を把握して舞台を鑑賞することにも比較できるであろう。

私たちは登場人物を注視し、場面、状況を捉えながら、作品の世界を旅することができる。これは庭も同じなのだ。

「はじめに」から抜粋

 

■掲載庭園

天籟庵(茶室・露地)/ 友琳の庭/ 西山氏庭園「青龍庭」/ 岸和田城「八陣の庭」/ 香里団地「以楽苑」/ 林昌寺「法林の庭」/ 豊国神社「秀石庭」/ 住吉神社「住之江の庭」/ 正覚寺「龍珠の庭」/ 如月庵(旧畑氏庭園)「蓬春庭」/ 石像寺「四神相応の庭」/ 西禅院庭園/ 正智院庭園/ 福智院「愛染庭」、「登仙庭」、「遊仙庭」

小堀遠州 気品と静寂が貫く綺麗さびの庭

シリーズ 京の庭の巨匠たち3
小堀遠州  気品と静寂が貫く綺麗さびの庭

  • 写真 田畑みなお・北岡慎也
  • 監修 野村勘治
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  • 発行 京都通信社
  • 装丁 納富進・秋葉敦子
  • A4変判 120ページ
  • 定価 2,381円+税
  • ISBN 978-4-903473-03-1
  • 執筆:小堀宗実・中村昌生・野村勘治
  • 座談会:荒木かおり・熊倉功夫・小堀卓厳・野村勘治

あまたの茶人が流儀を競うなかで、千利休、古田織部と並び称されるまでに新しい茶の世界を切りひらいた小堀遠州。

歌を詠み、花をいけ、端正でやさしさに満ちた美を追究しつつ王朝趣味に生きた遠州には、死をもって生を表現した利休・織部の悲しさはない。狩野探幽に豪華美麗な障壁画を描かせ、草庵の囚われを排除して書院を茶室にして端正な品格をつくる。しかも中国、朝鮮半島、ひいてはオランダの焼き物を注文して茶道具とする趣味人。

多彩な交遊関係・パワーバランスのなかで寛永のサロン文化と美術工芸品に囲まれた日々を楽しむ遠州は、徳川に仕える大名でもある。郷里の近江と琵琶湖を思いつつ、絵画や建築、茶室、庭をプロデュースし、それぞれが響きあう一体感の創出に新境地を見だした遠州は、日本文化の系譜に巨大な足跡をしるした。

その遠州好みを追究するにつれ、遠州の「よくぞここまで」という徹底したこだわりと研ぎ澄まされた感性が見えてくる。

「はじめに」から抜粋

 

■掲載庭園

金地院「鶴と亀の庭」/ 南禅寺方丈「虎の子渡しの庭」/ 元離宮二条城二の丸「八陣の庭」/ 仙洞御所庭園/ 孤篷庵「近江八景の庭」/ 桂離宮庭園/ 曼殊院庭園/ 頼久寺「鶴と亀の庭」/ 龍潭寺

植治 七代目小川治兵衛 手を加えた自然にこそ自然がある

シリーズ 京の庭の巨匠たち2
植治  七代目小川治兵衛
手を加えた自然にこそ自然がある

  • 写真 田畑みなお
  • 監修 白幡洋三郎
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  • 発行 京都通信社
  • 装丁 納富進・秋葉敦子
  • A4変判 120ページ
  • 定価 2,381円+税
  • ISBN 978-4-903473-02-4
  • 執筆:尼崎博正・小野健吉・白幡洋三郎
  • 座談会:笹岡隆甫・白幡洋三郎・谷 晃・永田 萠
  • インタビュー:佐野藤右衛門・森本幸裕・矢ヶ崎善太郎

七代目小川治兵衞──通称「植治」(1860-1933)

「水と石の魔術師」と評される卓抜した表現力と創造力をそなえた植治。その植治を支えたのは探求心と合理性をともなう技術、それに都市としての長い歴史が育んだ文化、なかでも人工物にたいする美的感覚ではなかったか。

明治という革命をへたこの時代は、新しいものを受け入れることに躊躇しない時代。欧米の事情を視野に入れつつ行動する山縣有朋、伊集院兼常らの政財界人と出会い、新しい時代の思潮、西欧的な暮らしを学んだ植治は、異文化を知ることで逆に、京都の伝統文化にアイデンティティを求めた。

自然なもの、素朴な表現、つまりは田舎的なものからどれだけ距離をおくかを洗練の尺度とした京都の美意識──人工の美を植治は庭の世界で突き詰めた。それはあたかも、緊張感のない自然を、植治をはじめとする京都の人は許さないかのようである。

「はじめに」から抜粋

 

■掲載庭園

並河靖之七宝記念館庭園/ 無鄰庵庭園/ 平安神宮神苑/ 平安神宮神苑/ 何有荘庭園(旧和楽庵)/ 円山公園/ 碧雲荘庭園/ 高台寺土井庭園(旧十牛庵)「葵殿庭園」と「佳水園庭園」(ウェスティン都ホテル京都) 立ち読みする

重森三玲 永遠のモダンを求めつづけたアヴァンギャルド

シリーズ 京の庭の巨匠たち1
重森三玲
永遠のモダンを求めつづけたアヴァンギャルド

  • 写真 溝縁ひろし
  • 発行 京都通信社
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  • 制作協力 重森執氏・重森三明・重森三玲美術館
  • 装丁 納富進+秋葉敦子
  • A4変判 120ページ
  • 定価 2,381円+税
  • SBN 978-4-903473-01-7

本書に掲載されている「重森三玲庭園美術館が」10月11日の朝日新聞夕刊で紹介されました。

  • 座談会:小埜雅章・斎藤忠一・佐藤昭夫・重森執氏・野村勘治

作庭家であり庭園研究者、茶道史家であり茶室を設計する茶人、花道史研究家であり近代いけばなの理論家である重森三玲。

美の理想を完璧なまでに追い求めた芸術理想主義者は、巨石を花のごとくに立て、色彩を加え、メッセージに満ちた立体造形芸術として庭を表現した。

神がみと交信し、響あう空間としての超自然の庭を創造しようと試みるなかで、三玲の意識は、当然の帰結として普遍的な美・永遠のモダンを追求することに収斂・昇華した。

その新しい感覚と挑戦のもとに多くの庭を21世紀に残した三玲は、当時もいまも伝統だけではあきたらない日本の若者たち、さらには欧米の人たちから熱い視線を浴びる。

「はじめに」から抜粋

 

■掲載庭園

東福寺方丈「八相の庭」/ 東福寺 光明院「波心の庭」/  龍吟庵「龍吟庭」「不離の庭」「無の庭」/  善能寺「仙遊苑」/ 光清寺「心和の庭」と「心月庭」/ 瑞峯院「独座の庭」と「閑眠の庭」/ 瑞応院「如々庭」と「楽紫庭」/  旧重森邸(重森三玲庭園美術館)「無字庵庭園」/  石清水八幡宮「社務所の庭」と「鳩峯寮」/  貴船神社「天津磐境」/ 松尾大社「曲水の庭」と「上古の庭」/  正伝寺「獅子の児渡し」庭園/  芬陀院「雪舟の庭」/ 霊雲院「九山八海の庭」「臥雲の庭」 立ち読みする