『社会と調査』31号
特集 社会学・社会調査における機械学習の応用
2023年9月 発行
編集・発行 社会調査協会
B5判 112ページ
定価 1,200円+税
ISBN 978-4-903473-43-7
📚 定期購読のお申し込み先は こちら から
目次はこちら
巻頭言
社会調査と実証的方法
社会調査教育との関連で
後藤範章
特集 社会学・社会調査における機械学習の応用
論文 1. 社会学方法論と機械学習
瀧川裕貴・藤原 翔
論文 2. 社会学における機械学習の応用
大久保将貴
論文 3. 社会調査データのコーディングへの応用
職業・産業コーディング自動化システム
髙橋和子
論文 4. ウェブ調査データの処理に関する機械学習の応用
尾崎幸謙
論文 5. 因果推論に向けた機械学習とセミパラメトリック推定の融合
川田恵介
Refereed Paper
帝国データバンク社データベースからの地域横断型データ抽出法
福島原発周辺の法人・事業所データセットの構築例を通じて
吉田耕平
原発避難による世帯分離がもたらした家族の困難
「双葉地方の住民を対象とした災害復興実態調査」(2011)
自由回答データの計量テキスト分析
坂井晃介
調査の現場から
ブランド調査を例にしたBtoB 企業における調査設計の考え方
鈴木真生
調査実習の事例報告
セクハラの不快感に関する要因配置サーベイ実験
安楽椅子社会学者の教える調査実習
太郎丸 博
「自分事化」を促進する調査実習への試み
李 妍焱
働く社会調査士
専門社会調査士としての10年間
学びの変化と専門社会調査士の意義
木山さゆり
まずは疑問を持つこと
熊切かれん
Commentary
社会調査におけるTEAの活用
TEM の作成を中心に
木戸彩恵
Column 世界の調査/日本の調査
P I S A
学習到達度の国際比較調査
鳶島修治
Column 社会調査のあれこれ
面接調査の欠票再訪問
吉川 徹
WEB 調査で事前統制をどこまで許容すべきか
佐藤博樹
私の3冊
アジア系移住者調査事始め
田嶋淳子
書評
松永伸太朗・園田 薫・中川宗人編『21世紀の産業・労働社会学――「働く人間」へのアプローチ』
今井 順
松谷 満著『ポピュリズムの政治社会学―― 有権者の支持と投票行動』
宮野 勝
毛塚和宏著『社会科学のための統計学入門―― 実例からていねいに学ぶ』
前田 豊
片瀬一男・神林博史・坪谷 透著『健康格差の社会学―― 社会的決定因と帰結』
米倉佑貴
志田未来著『社会の周縁を生きる子どもたち――家族規範が生み出す生きづらさに関する研究』
山口季音
数実浩佑著『学力格差の拡大メカニズム―― 格差是正に向けた教育実践のために』
須藤康介
今、機械学習が社会学やその隣接領域できわめて大きな注目を集めている。機械学習は情報技術の拡大とともに急速に発展し続けている分野である。社会学でも以前から機械学習への関心はあったけれども、主として、ビッグデータやテキストデータなど、従来の社会学では扱わないデータの解析手法として理解されてきたように思う。もちろん、ビッグデータやテキストデータは機械学習の主たる応用先の一つであり、社会学にとってそうしたデータの重要性も高まりつつある。しかし近年の機械学習の広がりはそれにとどまらない。サーベイ調査をはじめ多くの社会学者や社会調査の実務家のなじんでいる領域にも応用が急速に進んでいるのである。
ただ、機械学習はこれまで社会調査などで用いられてきた統計学とはかなり毛色が異なり、初学者には少しハードルが高いと感じられる部分があるかもしれない。そこで本特集では、機械学習になじみのない読者も含めて関心を持ってもらえるように、5組の著者たちに、社会学方法論としての機械学習やその応用事例の紹介に加えて、サーベイ調査の自由回答やウェブ調査、因果推論など、社会調査と深く関わる分野で機械学習がどのように役立ちうるかという観点から解説をいただいた。この特集をきっかけにして、社会学や社会調査の領域で機械学習を使ってみたいと思っていただければ幸いである。
瀧川裕貴「特集紹介」から抜粋
