『社会と調査』34号
特集 外国にルーツを持つ人たちをめぐる調査
2025年3月 発行
編集・発行 社会調査協会
B5判 98頁
定価 1,200円+税
ISBN 978-4-903473-46-8
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巻頭言
社会調査における多様性と学際性
米村千代
特集 外国にルーツを持つ人たちをめぐる調査
論文 1. 無作為抽出による全国調査
「くらしと仕事に関する外国籍市民調査」の経験から
永吉希久子
論文 2. 在日外国人を対象とするWeb調査の可能性と課題
滕媛媛・埴淵知哉
論文 3. 研究と実践を往復するソーシャル・アクション
アジア5カ国出身者を対象としたリプロダクティブ・ヘルス調査
田中雅子
論文 4. 中国帰国者研究に見るオートエスノグラフィーの可能性
南 誠(梁雪江)
Refereed Paper
親子ダイアド縦断研究におけるウェブ調査へのモード変更とその影響
大野志郎・朝永昌孝・木村治生・藤原 翔・松本留奈・福本優美子
Research Report
地方自治体による東日本大震災関連の社会調査の資料保管状況
岩手・宮城・福島の3 県調査から
神林博史・三輪 哲・阿部晃士・小川和孝・鈴木 努・鈴木伸生
調査の現場から
生成AIとマーケティング・リサーチ
生成AIが調査に与える影響を考える
佐藤哲也
調査実習の事例報告
セクシュアルマイノリティのライフストーリー調査
駒澤大学2022年度社会学専門演習Ⅱ(質的調査実習)報告
松信ひろみ
熊本県球磨郡球磨村三ヶ浦地区の民俗調査について
及川 高
働く社会調査士
データを生きた情報に
藤 杏子
資料を読むことの楽しさ
宮脇舞希
Commentary
軌跡を読み解く
系列分析(sequence analysis)の手法と展開
香川めい
Column 調査の達人
ポール・ウィルス
尾川満宏
Column 社会調査のあれこれ
フィールドにおける「失敗」の記憶
調査者として祭りの若衆を務めた経験から
武田俊輔
社会調査のデータ分析の1つの課題
統計技法と社会科学のインターフェイス創造の範例
真鍋一史
私の3冊
調査の難しさ
藤村博之
著者が語る社会調査テキスト
『社会調査のための統計学――生きた実例で理解する』
神林博史・三輪 哲
書評
杉野 勇・平沢和司著『 無作為抽出ウェブ調査の挑戦』
下瀬川 陽
樋口麻里著『精神障がいのある人を排除する社会でよいのか―― 国際比較調査からみる人間の価値』
佐藤典子
マシュー・デスモンド著・栗木さつき訳『家を失う人々―― 最貧困地区で生活した社会学者、1年余の記録』
川野英二
樋口美雄・田中慶子・中山真緒著『日本女性のライフコース―― 平成・令和期の「変化」と「不変」』
西野理子
林 岳彦著『はじめての統計的因果推論』
大久保将貴
2024年度 社会調査協会賞 受賞のことば
社会調査協会賞について
石田 浩
優秀研究活動賞
石田賢示
『 社会と調査』賞
吉田耕平
2010年には213万ほどだった日本に住む外国籍者の人口は、2024年6月末には358万超となるなど近年、過去最多を更新し続けている。また、国籍別人口は2010年では中国、韓国・朝鮮、ブラジル、フィリピン、ペルー、アメリカの順で多かったが、2024年6月末は中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ブラジル、ネパールの順となるなど、大きく変化している。また、インドネシアなどムスリムが多数を占める諸国からの来日も増加し、外国籍者たちの宗教的な多様性も増大している。さらに今後、現在急増している「労働者」の多くが「定住者」へと転換していく可能性も指摘できよう。実際、少子高齢化に伴う人手不足対策(各産業における外国人労働者の受け入れ)およびヒト不足対策(人口減少地域における外国人の定住支援)の中、外国籍者の日本社会における政策的位置づけは質的に変化しているのである。
本特集は、上述のように人口規模や出身国、在留資格等がこの10年ほどの間に大きく変化し、それに合わせるように調査方法も多様化した様々な社会調査の記録と報告である。テーマ自体に関心がある読者は勿論のこと、調査法の発展という側面でも興味深い論文がそろっているので、ご一読いただけると幸いである。
高畑幸・田辺俊介「特集紹介」から抜粋
