人間科学としての地球環境学 人とつながる自然・自然とつながる人
人間科学としての地球環境学
人とつながる自然・自然とつながる人
編著 立本成文
装画 わで しんいち
発行 京都通信社
A5判 298ページ
2013年3月20日 発行
定価 2,600円+税
ISBN 978-4-903473-92-5
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2001年4月に、大学共同利用機関として総合地球環境学研究所(地球研)は京都に産声をあげた。人間と自然の相互作用環、つながりを解明して地球環境問題の解決に資することをミッションとして謳っている。最初の6年間は動物行動学者の日髙敏隆博士を所長として自由な気風のもとで研究所のかたちをつくった。その後6年間を私が、「人間科学としての総合地球環境学」構想のもと、研究組織を充実させる役目を担った。次には大気や気候など地球学、地球環境学研究者である安成哲三博士が、地球研プロジェクトのグローバル化と地球環境研究の超学際化を目指して研究所の舵取りをする。
本書は、舵手交代の12年目の節目を記念して、地球研の根本ミッションを考えなおすために編まれた。それはとりもなおさず、総合地球環境学の基本的な枠組みを示すことでもある。もとより、この枠組みは数ある試みのなかのささやかな試論であることは認めざるを得ない。試論が常に必要なのは、総合地球環境学の性(さが)でもある。総合地球環境学というのは、人間が存続するかぎり考え続けなければならない問題群に対処する、終点のない営みであるからである。
人間が生存するかぎり、環境の設計は常に再考していかねばならない。変革、創造をなくした人間は、生物と同じく地球の物理的な循環に身を任さざるをえないからである。
総合地球環境学というのは、地球学、環境学、人間学を総合して、人類全体が、そして一人ひとりの人間が「良く生きる」ことに収斂していくことを目的としている。本書を手がかりとして、読者自身がより深く環境を考えることによって、良く生きる糧を得られることを願っている。
立本成文 「序」から抜粋
