吉村元男の「景」と「いのちの詩」
吉村元男の「景」と「いのちの詩」
写真・文 吉村元男
発行 京都通信社
A5変判 84ページ
定価 1,400円+税
2013年7月10日 発行
ISBN 978-4-903473-71-0
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本書に登場する四つの作品に従事できたことは、風景造園家としてきわめて僥倖な機会に恵まれたからでした。これらの作品が今日までも美しく、いのちの輝きを増しながら、ほぼ設計当時の趣意が保たれ、維持管理され、着実に成熟していることに、それらを訪れるたびに感激し、それらのいのちに感謝の念を禁じえないでいます。
庭園は生命の集合体でできた風景で、人間の赤ちゃんと同じ出発点から始まります。その生命の集合体は、草花、樹木、昆虫、鳥、魚、そして土の中の計りしれない数のバクテリアなどのいのちが互いに絡みあって、一つのたくましい調和のリズムを生み出し、成長してゆくのです。その軌跡は、数多くの人びとの知恵と技と情熱によって導かれたものです。庭園が幾多の風月をへて俗の垢を吸い取り、浄化する力をもって成長してゆくことは、それ自体がいのちの奇跡です。万博記念公園の40年を超える奇跡に歓喜の涙が溢れます。
風景は時代とともに移り変わります。千里丘陵の300ヘクタールの田園・竹林を破壊して開催された1970年の日本万国博覧会の多くのパビリオンは、半年の寿命で破壊されました。その跡地に博覧会開催を記念する公園が誕生しました。自然破壊、パビリオン建設と破壊、そして万博記念公園の自然再生。丹下健三氏の「お祭り広場」の大屋根が取り払われ、岡本太郎氏の「太陽の塔」が残され、その間に万博の森がすくすく育ってきました。万博記念公園は、二度の破壊への鎮魂の風景です。
吉村元男 「奇跡と歓喜の庭園づくり」から抜粋
