欝〈うつ〉に離婚に、休職が…<br>ぼくはそれでも生きるべきなんだ

欝〈うつ〉に離婚に、休職が…
ぼくはそれでも生きるべきなんだ

  • 玉村勇喜 著
  • 発行 京都通信社
  • 装丁 中曽根孝善
  • 四六判 160ページ
  • 定価 1,500円+税

鬱病に苛まれた著者が赤裸々に伝える

うつ病を患っている人が日本人の十人に一人、離婚した人は結婚した人の三組に一組といわれる時代。そういうなかで、うつも離婚も経験した筆者がその体験を露呈する。なぜか、自らに強く言い聞かせていること─「それでも死んではいけない、生きてゆくべきだ」を一人でも多くの人に伝えたいからだ。

著者のことばから

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目次

はじめに──うつになっても離婚しても生きる

第一章 うつ病を発症

  • ピークだった社会人一年目
  • 近づいてくる「うつの予兆」
  • 東日本大震災の翌々日、ついにうつ病に
  • 情けない自宅療養
  • 心理カウンセリングを受ける
  • 株、F Xで負ける
  • 一週間のうつ地獄
  • 新型うつの良いところ
  • 職場復帰へ

第二章 予期せぬ再発

  • チームを異動する
  • 上腹部の痙攣〈けいれん〉が治まらない
  • オーバーワークで再発
  • 替えた主治医に追い出される
  • 奥さんのありがたさ
  • 三週間のうつ地獄
  • ひたすら趣味にのめり込む日々
  • 過食、過眠になる
  • 熊本旅行に行く
  • 会社が心底嫌だった

第三章 悪化するうつ

  • 「幸せワークショップ」でうつが悪化
  • 三か月の寝たきり生活
  • 玄関で三時間固まる
  • 家と公園の往復の日々
  • 引っ越しまでも奥さん任せ
  • 新居生活でも苦しむ
  • 薬が効かない
  • 食欲不振、不眠になる
  • ありえない憂鬱感

第四章 離婚の苦しみ

  • 出会いは天文サークル
  • 岐阜―神戸間の遠距離恋愛
  • 社会人三年目の結婚
  • 互いにDV
  • うつのさなかに子どもを妊娠
  • ただいまのない里帰り出産
  • そして離婚へ
  • 毎日の自殺願望
  • 母親とのけんか
  • 過去を精算

第五章 うつと離婚の狭間で

  • 公園に十二時間滞在
  • 大学病院でうつではないと言われる
  • 主治医の診断は非定型うつ
  • 壊れてしまった心
  • 両親の愛
  • 癒しのペット猫、ゆうちゃん
  • 過去は不幸でもいい
  • 姪っ子のおまもり
  • うつの人たちとの関わり方
  • それでも地球は回っている
  • 生きることこそ人生なり

はじめに──うつになっても離婚しても生きる

本書は、うつ病を発症し、奥さんから離婚された男のこれまでの軌跡を描いた物語です。
うつで苦しんでいる人、離婚に悩んでいる人は、世の中にごまんといるはずです。
そんな人たちの心にそっと触れ、その傷を少しでも癒すことができれば、
少しでも共感してもらえれば――そんな想いでこの本を書きました。
ぼくは不幸の極みとも言える体験をしました。
それはもう恐ろしく、体験したいと思ってもできるものではありません。
「世の中にはこんな不幸な人もいるのか」、そう思っていただけるだけでも幸いです。
あなたもいま、うつで苦しんでいるかもしれません。
離婚で苦しんでいるかもしれません。
あるいはその両方で苦しんでいることもあるでしょう。
とても辛いと思います。
でも、そんなときでも必要なことがあります。
それは生き抜くことです。
とにかく死なずに生きつづけることで、必ず道は開けるでしょう。
決して諦めてはいけません。
「どんなに辛いときでも前だけを向いて歩いて行け」、いいえそんなことは言いません。
後ろを振り返ってもいいのです。
立ち止まってもいいのです。
負けてしまってもいいのです。
ひたすら生きることに専念してください。
いちばんやってはいけないことは、自分の命を絶つことです。
自殺ほど悲しいことはありません。
なぜなら自殺して喜ぶ人はいないからです。
あなたは、あなたというオンリーワンの存在です。
本来輝かしくあるべきものなのです。
あなたは、あなた自身を大切にしてください。
あなたが思っているほど、世間はあなたに関心がありません。
「うつになった人がいるんだ」、「離婚した人がいるんだ」、そのていどです。
ぼくも芸能人のニュースを見て、
「ふーん。そうなんだ」と思うことがよくあります。
だから、いちばん関心があるのは自分自身です。
自分で自分のことをいかに大切にできるか。
それがうつと離婚の苦しみから抜け出せるいちばんの方法です。
懸命に生きてください。
ぼくも懸命に生きることにしています。
正直、いまでも辛いことはたくさんあります。
憂鬱感に苛さいなまれることもあるし、自殺願望にとらわれることもあります。
でも、死んではいけないと思っています。
なぜなら悲しむ人がいるからです。
ぼくの場合、両親がとても優しく接してくれました。
うつになって、離婚して、そんなダメな人でも、
必ず一人は愛してくれる人がいるのだと知りました。
ぼくは、世の中の人みんなが敵にまわっても、あなたの味方です。
なぜなら、同じ悩める過去をもつ同志だからです。
みなさんの心が、少しでも安らぎますように。

玉村勇喜

1983年生まれ、兵庫県神戸市在住。立命館大学卒業後、仕事でうつ病を発症し3か月間、まったく動けなくなるほどの病に襲われる。しかもその後、里帰り出産の奥さんが戻ってこず、そのまま離婚を言い渡される。