日本を女性上位の共同体に

静かな幸せを求めて
  • 宮原一武 著
  • 発行 京都通信社
  • 装丁 中曽根デザイン
  • 四六版 168ページ
  • 定価 1,430円(税込)
  • 2024年5月1日 発行

「人類の歴史は戦いの歴史」などと揶揄されるように、男性中心の社会は権力志向と闘争が激しくなるのが常。それゆえキリスト教はマリアを、仏教は観音菩薩を、神道は天照大神を仰ぐ。
ならば、共同体や国の指導者に女性をどしどし登用する社会にしてはどうか
あなたにとって幸せとはなんですかと問われて、なんと答えたらよいでしょうか。自分を愛してくれる人がいること、愛されていると実感することではないでしょうか。次は、自分にも愛する人がいることです。
女性上位の共同体は「愛の共同体」として、きっと互いの幸せを増幅してくれることでしょう。愛は意見の違いや争いをも克服します。




もくじ

じめに

平和で静かな幸せを求めて/「宇宙の怒り」を予感する/なぜ宇宙は存在するのか

章 宇宙と生命のこと

宇宙空間を占めるダークマターとダークエネルギー/永遠の時間と無限の空間で構成される宇宙

章 人間存在とはなんでしょうか

生命の根源はどこからきたのか/肉体と霊魂とが分離する「死」

章 目にみえない存在の「力」

「私」を超えた存在に夢を託す行為と宗教/神・仏への信仰から生まれる文明

章 目にみえる共同体の実際

助けあいの狩猟採集から家族共同体の農業に/リーダーの出現が闘争する社会を助長/幕藩体制という共同体が抱えていた日本の課題/村落共同体を解体させた産業革命/共同体を似たような経緯で成立させた西欧と日本/自治体も国家も民族・家族を基盤に成立するがゆえに

章 仏教を軸に文明共同体を構築した日本

神道と儒教とを合体させた国家神道/神社神道は、現代日本文明の「裏方文化」/合理主義と自由主義が先進国を構築する/現代日本の基軸文化は自由民主主義

章 女性上位の社会こそが穏やかな世界を実現する

ヨーロッパの家父長制と日本の家父長制/人類の宝である女性を解放せよ/生理中の女性は障碍者として扱うべし/「子孫を絶やさないで」という神さまの願い/「一個対数万個」が生む男女格差と悲哀

章 宗教は性と性欲をどう扱うか

神道と儒教
神社神道のおおらかな性の世界/女性を軽視する思想を支えた儒教/国家神道に組み込まれて日本に定着した儒教
仏教
無形の悟りを追いかける仏教の柔軟な性の世界/経/仏教の主張/仏像/空海/在家と出家、戒名(法名)
イスラーム教
日本も無縁でなくなったイスラーム教/イスラーム法にのっとる暮らしと性差別/国境を超えて手をつなぐイスラーム共同体も女性を抑圧/独自路線を歩むトルコとイスラーム共同体「ウンマ」
キリスト教
「バビロン捕囚」を契機にゾロアスター教に学ぶ/『旧約聖書』と『新約聖書』で異なる教え/ローマン・カトリック、プロテスタント、東方正教会という派閥/ギリシャ文明を伝え拡散させた東ローマ帝国の功績/古代ローマから続くローマン・カトリック教会とラテン語/聖歌を伝える目的で生まれた五線譜/聖歌の位置づけと演出がみせる宗派の位相と課題/「処女生誕説」をこのまま信仰してよいものか

章 楽しく社会に貢献する共同体

「過剰」を抑えた社会をめざす/合理性と経済成長を放棄して緩やかに/宗教法人は社会福祉法人化して目的を社会貢献に変更する/若者には地球を沸騰させない生き方を選択してほしい

章 選択の人生と私

進学資金と母への送金に自衛隊に入隊/貿易の仕事をしたいと同志社大学商学部に/バイブルと英語三昧の日々/クリスチャンの洗礼を受ける決心と自信/宣教師の先生と暮らし学ぶ日々

10章 人生を懸ける職業

愛するとは自分の時間を与えること/大学院生としてふたたび同志社で学ぶ/貿易コミュニケーション論を専攻する新婚さん/短大で商業英語を担当しつつ博士課程を履修

11章 女性たちとアダルトビデオ

性風俗の動画規制を無意味にした国際化/変容する市場と規制/性教育とアダルトビデオの効用/事実を正しく認識できる環境がなにをもたらすか

12章 社会制度としての女性上位の共同体

ヘルプマーク活用のすすめ/共同体運営の仕組みの六割は女性が決める/地位向上に欠かせない保育環境の充実

13章 パレスチナ戦争の背景にある歴史と宗教

英雄になりきれなかったアラビアのロレンス/「終わりはくる」との真理を告げる黙示録/宗教的弾圧と対立の根幹

14章 私たちはどう生きて、どう終わるのでしょうか

男でもあり、女でもあるイエス/信仰共同体と神さまのダークマター/現世に訪れる死とどう折りあうか/「存在するものは必ず消滅する」宇宙の原理/静かな幸せを見つける方法/「静かな幸せ」の中身はなにか/互いの幸せを増幅する「愛の共同体」/夜空を仰いで好きな星を決めませんか/キリストの復活はなにを意味するか/死期を迎えて真理を理解できた喜び

わりに


著者の略歴 宮原一武(みやはら・かずたけ)

神戸市外国語大学名誉教授。専攻は貿易論と比較文明論。1935年、長野県に生まれる。17歳で大学入学資格検定合格、近江絹絲紡績(株)、陸上自衛隊松本部隊に勤務したのち、23歳で同志社大学商学部に入学。ニチコン(株)に勤務ののち、大学院商学研究科修士課程に。平安女学院短期大学に勤務しながら33歳で大学院博士課程単位取得。その後、神戸市外国語大学に26年間勤務。この間、イースタン・ケンタッキー大学客員教授(1993年)、国際比較文明学会理事などを務める。著書に、『国際ビジネスコミュニケーション』(1995年、糺書房)、『文明の構造と諸問題』(1998年、近代文芸社)、『女性主導文明が未来を救う』(2004年、文芸社)、『晩恋 映子と爺のラブメール』(京都通信社、2017年)、『主流文明の世界史 魅力と魔力が歴史をつくる』(京都通信社、2020年)などがある。共著に、『この国を憂いて』(2002年、キリスト新聞社)、『地球時代の文明学』(2008年、京都通信社)などがある。