京都会議

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発行・財団法人京都会議事務局/制作・京都通信社/A4判・本文14P

 京都には、文化や学問のスポンサーとしての活動に尽力する企業家が多く、そういう経営者の一人であった榊田喜四夫氏(当時・京都信用金庫理事長)は、1980年に若手財界人の稲盛和夫氏、石田隆一氏、立石孝雄氏、野村直晴氏、村田純一氏、湯浅暉久氏らを誘い、さらに著名な学者・思想家である江崎玲於奈氏、岡本道夫氏、佐藤文孝氏、田中美知太郎氏、早石修氏、広中平祐氏、福井健一氏、藤澤令夫氏、森口親司氏、矢野暢氏を招いて「京都会議」を設立した。やがてこれを財団法人するとともに、1989年にはメンバーに伊谷純一郎、千宗左、千宗之、永守重信氏らを新たに招いて、文化サロン的活動から社会活動に発展させようと試みる。

 やがて、榊田氏や田中美知太郎氏などの死去にともなって、活動の趣旨と理念は、メンバーの稲盛和夫氏が設立した財団法人稲盛財団受け継がれ、「京都賞」や研究助成などに発展していった。

 定期的な会合では、研究者が専門的な立場で話題提供し、議論がはじまる形式だったが、研究はともかく、経営者の知的な関心の幅と鋭い洞察力には驚くべきものがあった。その議論の内容やメンバーの日常の関心事をインタビューで紹介する広報誌が、この『京都会議』だった。16号まで担当させていただいた。京都のよき時代の産学のパートナーシップを物語る資料である。表紙写真には、それぞれの経営者が所有する絵画を使用させていただいた。 

『京都会議』第16号(1990年10月20日発行)

No89
会議の記録13:科学研究のあり方と、その支援態勢はいかにあるべきか

基調報告「科学研究の周辺」福井謙一

変容する科学の概念と実態/先端技術優先の日本の姿勢が問われている/特殊化によってブレークスルーが期待できる時代/アブ・イニシオの研究こそ科学の王道

討論「科学研究が直面する課題と困難」石田隆一/岡本道雄/佐藤文隆/千田哲朗/宮村久治/村田純一/福井謙一/藤澤令夫/矢野暢/湯浅暉久

量子以外の視点で筋書きをたてる時代になるだろう/ノーベル財団にも悩みがあるのですよ/ユースフルネス・オブ・ユースレス・ノレッジ/天文学の中心がアメリカに移った理由/アメリカ政府が基礎研究に積極的になるのは戦後から/地球を救うための研究がいまいちばん必要ではないか/先端技術から派生するブレークスルーではないブレークスルーに期待したい

談話室11「社会と暮らしに貢献できない企業に発展はありえない」立石孝雄

障害者福祉への取り組みは、企業の公器性の実践の一環です/障害者同士のカップルが、4年間で7,8組誕生しました/生産拠点の地方分散は、地方の時代の先駆けだと自負しています/御室の名前をつかわせていただくのですから、恩返しは当然ですね/海外進出も地域密着の現地主義でゆきます

『京都会議』第15号(1990年7月20日発行)

No89
会議の記録12:科学技術は国の壁を越えられるか

基調講演「『日米科学技術協定』とその背景」岡本道雄

協定締結の三つの動機と日米固有の事情/世界の政治、経済と強くむすびつく科学技術/会議の経過は日本側の譲歩の歴史/論議がすれ違うアクセス障壁と格差/科学技術は人類共有の財産ではないのか/危機に瀕した地球を救うイニシアティブ/「安全科学」と「教育」の提案と、その必要性/欧米文化至上主義の台頭と日本文化の評価/科学技術の粋をつくして神をみた人間

討論「民族と文化の問題としての科学」

生物学をやるか地球環境をやるか/平和のために戦争する欧米のコンペティションの精神、日本は科学技術で世界に貢献してゆくべきだ/相手を説得する欧米人、和をつくろうとする日本人/ブレーキをかけることが人類の破滅を遅らせる/日本人は元来、自然と人間との関係をもっとも理解しうる民族だ/「すみ分け理論が実践されなければ、日本は存在しえない/国・企業のエゴには人類破滅の危険性がある/日本人の「こころ」に可能性がひめられている

『京都会議』第14号(1990年4月20日発行)

No89
会議の記録11:物理学的宇宙観と主観的宇宙観

「宇宙の創造と時間」佐藤文隆

具象から抽象へと進んだ時間の概念/抽象化された共同幻想としての時間/ニュートンにはじまってアインシュタインへ/一般相対論とゲージ論が変えた物理学/存在している物質が、じつは存在していない/一般相対論を量子化すると消える時間/比較社会学的にみた時間の概念/宇宙の時間もやはり具象的な腹時計

討論「物理学の進展と人間の宇宙観」伊谷純一郎/岡本道雄/佐藤文隆/立石孝雄/千田哲朗/村田純一/湯浅暉久

自分が生きているんだから時間もあるんだという捉え方がある/サル以下の動物には時間の認識はない/地球の終わりの時期は人間のふるまいしだい/科学の進展は、未知の領域をどこまで解明できるのか/「黄金の1930年代」以降理論的革命はなかった

談話室10「ソ連・東欧諸国の変革は、日本の社会を考えなおす契機だ」
稲盛和夫

精神性の否定が共産主義体制の崩壊を招いたのです/「資本主義が共産主義に勝った」などと単純に喜ぶことはできない/大衆の力によって国境なき時代を迎えるかもしれない/日本の中央集権的官僚体制への批判が出てくるだろうと思います/巨大・独占的企業は行動を自制する必要があります/一刻も早く国内の改革をやらなければいけない

『京都会議』第13号(1990年2月20日発行)

No89
会議の記録10:ヒトはなぜ人間でありうるか

基調講演「類人猿の社会構造と人類社会の起源」伊谷純一郎

歴史主義的立場から進化の跡を読みとる/霊長類の社会構造の概要と諸類型間の関係/陽のフェーズに転じて進化した霊長類

討論「動物の社会・人間の世界」伊谷純一郎/稲盛和夫/河合隼雄/佐藤文隆/広中平祐/福井謙一/藤澤令夫/森口親司/矢野暢

ヒトとゴリラを区別する理由はほとんどない/ダーウィンの進化論に汚染されたヨーロッパの思想/ぼくの祖先はチンパンジーだった……/犬畜生は近親交配をしない社会構造をもっている/直立二足歩行、音声言語、ヒューマン・ファミリーの3点でしか人間を規定できない/日本が先鞭をつけた霊長類の文化の研究/発明・発見は拾得物人間の家族と動物の家族/サルと一緒に歩きたい

談話室9「近代を超克する人類のポストモダンの思想を追求しよう」矢野暢

近代は砂漠の文明から誕生した/森の文明は、人間本来の自然な生体的適用を考えた文明だ/ストックの文明は、君主制の強大な権力がつくる文明です。/フローの文明の哲学は「無在庫」の思想/日本は、世界史上初のフローの文明の類型なのです/ヨーロッパ近代の終焉をいいたい/神秘主義のかたちで科学的合理主義は乗りこえられる/人間の幸福に貢献するポストモダン型の技術革新

『京都会議』第12号(1989年12月20日発行)

No89
会議の記録9:地球時代の経済構造

基調報告「90年代日本の経済活動」森口親司

ME関連の技術革新がもたらした日本の経済的安定/土地価格の上昇がもたらしたもの/税制改革の理念とその波及の方向性/日本のグローバリゼーションーのゆくえ/内需拡大と構造調整の努力がポイント

討論「企業の目標とその社会的責任」石田隆一/伊谷純一郎/稲盛和夫/河合隼雄/佐藤文隆/千田哲朗/藤澤令夫/宮村久治/村田純一/森口親司

フェアの精神が問われることの背景/効率と公正が経済政策の目標/個人的利便と開発、そして環境破壊のはざまにある論理に整合性はあるか/一つの地球上で暮らすには、共存の道を求めるしかない

談話室8「子どもや家族の問題は、時代がつきつけた人間存在の問い直しだ」河合隼雄

現代は単純な標準のない時代です/思春期やせ症は、食糧が豊かな国でしか起きないノイローゼ/子どもが悪いのか、お父さんが悪いのか、それともお母さんが悪いのか/どこか根が切れているという感じがする問題児の家庭/人間の成長に必要な母性はかつては家全体がそなえていたんです/核家族ではめんどうなことに、父親は父親役を母親は母親役を演じなければいけない/日本の社会全体がもつ母性に支えられて単身者が活躍する生活パターン/成長して、お母さんになるのはナンセンス/家族も星座みたいなもので、一人が動くと全体関係がすべて変わるのです/アメリカは母性をうまく保持した日本を見習わないくてはいけないか?/1匹以外のオスはすべて殺す遊牧民/遊牧民族的父親像と農牧民的父親像とは分けて考えたい/遊牧民的父親像を求められることが悲劇をもたらしている/家族の問題は、いまの時代の人間のあり方そのものにかかわってきます

『京都会議』第11号(1985年10月1日発行)

No89
会議の記録8:脳の働きと人間の「こころ」

基調報告「脳の構造からみた人間の成熟」岡本道雄

脳細胞の配列の違いによって異なる機能/発達・成長する脳機能/意識と行動の根源となる作用の局在/脳全体をコントロールする前頭前野/人類が脳で滅ぶことはない

討論「生物的人間の精神世界」稲盛和夫/岡本道雄/田中美知太郎/波多野進/広中平祐/福井謙/藤澤令夫/村田純一/森口親司

西洋医学に類似するヨガの極意/人間は人間になる可能性をもって生まれてきたにすぎない/右脳と左脳の機能分化は検証できない/人間の成長と環境・成長/こころと認識と脳機能/人間の能力の開発は胎教によって可能か

特別寄稿「時間の矢」S.W.ホーキング

熱力学時間の矢と心理時間の矢と宇宙時間の矢/「秩序から無秩序へ」の矢/ペンローズの提案/宇宙の境界条件/秩序-無秩序-秩序/収縮期も膨張と思う

解説「36歳にしてニュートンと同じ地位を得た学者」佐藤文隆

『京都会議』第10号(1985年8月1日発行)

No89
会議の記録7:科学・技術が生む文明のパラドックス

基調報告「科学・技術の進展と人間の幸福」藤澤令夫

自然から反自然への反転/テクノロジーの根底にある運動の論理/無秩序な状態を与える情報/技術とともに得た盲目の希望

討論「人間にとっての自然と人為」石田隆一/榊田喜四夫/田中美知太郎/野村直晴/波多野進/広中平祐/藤澤令夫/村田純一/森口親司/矢野 暢/湯浅暉久

自然と技術とテクネー/盲目の希望だけを授けられた人間/相対主義の原理はどこまで有効か/レボリューションかインボリューションか/ニーズは人間の自然な産物か/1万年の歴史しかない人間の文明進化

談話室7「成功体験は人間をだめにする」野村直晴

レースを洋服生地として使い始めたのはうちの父なんですよ。/無難の壁からおちたら無能、無頼の壁からおちたら無礼になるんです。/設立40周年を期に先輩たちの失敗物語の社史をつくります。

『京都会議』第9号(1985年6月1日発行)

第9号
会議の記録6:自然科学は人間理解にどこまで有効か

基調報告「フロイトからユングへ」河合隼雄

無意識のなかの創造性を引き出すことが役割/半覚醒状態で聞き役に徹する態度が治療の秘訣/不思議な夢が教える潜在意識/非因果的連関を持った事象のコンステレーションを読む/宗教的世界観と自然科学的世界観とを一致させる試み

討論「理論体系と因果性」石田隆一/河合隼雄/佐藤文隆/田中美知太郎/波多野進/早石修/広中平祐/福井謙一/藤澤令夫/村田純一/矢野暢

臨床心理学の体系は野球理論。知っているからうまいとはいえない/因果関係はどこまで求められるか。ヒドゥンパラメータと神/自然科学派のフロイトかドラッグ派のユングか/日本では流行しない精神分析/個の集積を見て個の性格を類推できるとはかぎらない/偶然を待つ賭の商売/助けようとする気持ちが強ければ必ず失敗する/コンステレーションと科学の普遍性

談話室6「京都はペリペティアの落とし穴にはまりこんでいる」矢野暢

日本人社会の理念型は、常にゲマインシャフトなんですよ/京都を普遍化するには、京都人が外に向けて光りを放たないといけない/かつてのすばらしい雅の文化が、いまとなって足枷になるわけですよ/いろいろな普遍的な価値をどんどん送り出す発信基地としての京都

『京都会議』第8号(1985年4月1日発行)

第8号
会議の記録5:数学的思考法と現代文明

基調報告「数学的世界の西と東」広中平祐

生物の誕生とともにはじまる数学の歴史/異文化との接触が生んだギリシアの数学/機械的・構造的研究が進んだ中世ヨーロッパ/西洋的思考法から東洋的考え方に

討論「コンピュータ時代の数学的数学的発想」稲盛和夫/岡本道雄/佐藤文隆/立石孝雄/田中美知太郎/波多野進/広中平祐/藤澤令夫/森口親司/村田純一/矢野暢/湯浅暉久

微分のニュートン、差分の関孝和/月の数学・雲の数学/勘のはたらかないコンピュータは人間を超せない/論理より勘が求められる時代

談話室5「ギリシア哲学にこそ、現代の社会的命題に応える原点がある」藤澤令夫

現代の問題、これは真性の哲学の問題ではないか/哲学は、自分の固有の概念、術語を自己増殖しすぎたと思うんですね/機械的に依存した環境は、人間に本質的な影響を与えていますね/神は「ものをつくる技術」と「国家社会をなす技術」とを人間に与えた

『京都会議』第7号(1984年8月1日発行)

第7号
会議の記録4:科学技術の発展とその選択

基調報告「人間の社会生活と科学」江崎玲於奈

資源がないから国際化をはかるという誤り/人間の生活を規定する科学技術/科学技術がもたらす光と影/アメリカを偉大ならしめた科学研究/自然科学への姿勢と創造性

討論「科学を理解する『こころ』と姿勢」石田隆一/稲盛和夫/江崎玲於奈/榊田喜四夫/田中美知太郎/野村直晴/波多野進/藤澤令夫/村田純一/森口親司/矢野暢

選択を迫られたときの人間/暗闇を一人で歩くことが苦手な日本人/科学に理性でのぞむ態度/社会科学の伝統と自然科学/アメリカはヨーロッパのしっぽ?

談話室4「経営理念は三方良し」石田隆一

メートル法への改正は秤屋にとって動乱期でしたね/目標としてビッゲストよりも、ベストな会社をつくろうと思いました/秤屋の池は、いつまでもクジラの入っていられるところじゃあない/創業90周年日本を代表する中堅企業になった。世界を代表する中堅企業にするのが夢です

『京都会議』第6号(1984年7月1日発行)

第6号
会議の記録3:科学は人間をしあわせにするか

基調報告「ノーベル賞と科学研究」福井謙一

科学者はなにに目標をおいて行動すべきか/21世紀の人類を想定した科学技術の確立/「アメリカはノーベル賞をとり続ける……」/基礎研究の充実は国際的要請

討論「科学と技術と基礎研究」榊田喜四夫/田中美知太郎/野村直晴/波多野進/広中平祐/藤澤令夫/森口親司/矢野暢/湯浅暉久

否定するだけでは問題は解決しない/科学と技術とは本来異次元のもの/最先端の科学の問題点は科学者だけが知る/科学と技術とはシーソーゲーム/研究資金と人材をいかに確保するか/自己規定と他者規定/日本の科学研究の現状は世界の不思議

談話室3「若い世代に湧源の時代をかける。」広中平祐

「月と雲」の時代も、20年もすれば「湧源」の時代をむかえるでしょう/政治単位としてでなく、人の集まりとしての国には期待がもてますね/日本のモデルを外国に求めるとすれば、それは古代ギリシャ/数学の成果でなく、数学的ものの見方が重視される時代になるでしょう/命題を明確にする数学的なものの見方を身につけることは楽しいですよ

『京都会議』第3・4・5号(特別号)(1984年6月1日発行)

第3・4・5号
21世紀における科学と人間の尊厳の会議
開会の辞 桑原武夫
司会のあいさつ 矢野暢

基調報告1「宇宙時代の『才』と『魂』」佐藤文隆

自然科学者の学問的立場と姿勢/宇宙誕生と進化の過程──膨張する宇宙/科学的事実から導きだされる世界観・自然観/人文主義と自然科学とのすりあわせ/科学の成果は人類共通の文化

基調報告2「生命科学と人間の尊厳」河合隼雄

人間はなぜ尊厳性を持つのか/生命科学の発展と絶対者の存在/死の問題抜きには成り立たない生命科学/絶対と総体──全体観の提唱

討議

「科学は世界共通の文化になりうる」サー・スチュアート・ハンプシャー/「精神作用の物質的基盤の解明は、人間の尊厳を侵すことはない」沼正作/「人間の尊厳を議論し、それに責任を持つのは科学者の義務」ベンノ・ヘス/「西洋と日本とを単純化して対比することには問題がある」田中美知太郎/「新技術は社会との関係で正当化されて使用されなければならない」アルビン・エーザー/「生命科学は人類の幸福の問題をさけては通れない」桑原武夫/「科学的事実と、宗教・思想との折り合いをどうつけるか」テレンス・マイクル・ペネラム/「人類を指導する思想は、非ヨーロッパ世界にあるもしれない」梅原猛/「人間の尊厳を奪う貧困は、より切迫した問題」ジェームズ・レジナルド・ミラー/「考えることをさせない近代社会は人間の尊厳を奪っている」ロバート・ポール・ラムゼイ/「人間の尊厳のための手段と目的とを取り違えていないか」シオン・リチャード・カス/「科学と『こころ』とを結びつけた新しい宗教が必要ではないか」稲盛和夫/「個人の尊厳と集団の尊厳とは区別できるか」吉田光邦/「功利・実用にとらわれることがサイエンスの根を枯らさないか」江橋節郎/「人間の尊厳は自己目的性、小宇宙にある」加藤寛平/「科学技術と人間の倫理・道徳とは別種のものではない」藤澤令夫/「テクノロジーは道具であり、使用には世界共通の倫理が必要」ジャック・リュフィエ/「発見は人間の叡智であり、クローンといえども自然の摂理に反していない」岡田節人/「会議の開催に感謝します」グイド・マルティノッティ

総括「科学の立場と技術の立場」田中美知太郎

すべての進化論の基礎をつくった生物学/知る自由・研究する自由の保障/技術の立場と善・価値/医学は科学と技術の一体化のモデル/目的・手段との関係で整理される技術の問題

閉会の辞 岡本道雄夫

『京都会議』第2号(1984年3月1日発行)

第2号
会議の記録2:生命科学のすすむべき道を探る

基調報告「科学時代の医の倫理」早石修

2,500年前の医聖ヒポクラテス/近代医学の発生にともなう倫理観の相剋/医への理解・認識と科学的視点の必要性

討論「科学の進歩と人間」石田隆一/榊田喜四夫/田中美知太郎/野村直晴/波多野進/早石修/広中平祐/湯浅暉久

頭の良い人が医者になる必要はないだろう/遺伝子工学は人類を救うものだろうか/新技術をいかに正しく使えるかが分岐点/遺伝子工学は40歳の妙齢の処女を生むか/試行錯誤のなかに人間の進歩があるという事実/実験をする勇気も必要ではないだろうか

談話室2「21世紀に生きるための哲学を求めたい」榊田喜四夫

われわれは、いまの社会の枠組に満足しきることはできない/指導的というか、理想追求のための哲学が、現代には欠けていますね/現在の自由競争だとか、企業の原理とかが、いつまでも有効だとは言い切れないでしょう/新しい時代には、新しい秩序体系を必要とするんです

『京都会議』第1号(1984年2月1日発行)

第1号
会議の記録1:1センチの宇宙からの出発

基調報告「ビッグバンと宇宙物理学」佐藤文隆

膨張する宇宙を確認する/進化のプロセスで誕生した4つの力/対象性の破れがつくった物理学/宇宙を28桁縮小すると1センチメートル

討論「自然科学とコスモロジー」石田隆一/稲盛和夫/江崎玲於奈/榊田喜四夫/佐藤文隆/田中美知太郎/波多野進/早石修/広中平祐/藤澤令夫/村田純一/森口親司/矢野暢

宇宙はどうとらえられるのだろうか/永遠のものは、はたして存在するのだろうか/科学すべてを証明できるのだろうか/自然科学に哲学は不要だろうか/自然科学と哲学とは共存できるだろうか

談話室1「進歩は結果であって、目標になるものではない」田中美知太郎

進歩主義的な考え方をうながしたのは、19世紀のヘーゲルとダーウィンでしょう/これまでの進歩観をひきずったまま、21世紀にすべり込んでいけるかどうか……/ぼくは招来と未来とは区別しているんです/永遠の生命を与えられたら、これは退屈で、地獄みたいなものでしょうね……

『京都会議』第0号(1984年1月1日発行)

第0号
京都会議設立趣意書
京都会議発足のこと
プロフィール
京都会議規約(抄)
京都会議のあゆみ

『京都会議』資料用(1989年10月2日発行)

資料用
京都会議の概要
京都会議設立趣意書
京都会議発足のこと
京都会議につどう人びと
京都会議のあゆみ
京都会議寄付行為